とう立ちについてまとめました。
春先、収穫を待っていた野菜から突然茎が伸びて花を咲かせる。
このことを「とう立ち」(薹立ち・抽苔)といいます。
野菜にとっては、子孫を残す喜ばしい時期に入った訳ですが、
収穫を期待していた人間にとっては、
姿形も食味も違ったものに変化してしまうので、
急にその時を迎えると、がっかりすることも多々あります。
農家であれば出荷の見込み違いにつながります。
なので、
どうやって起こるか、しくみをしっかりと知っておきたいところです。
植物には、「種から発芽」した後、
「大きく育つ時期」と、「種をつける時期」があります。
大きく育つ時期を「栄養生長」
種をつける時期を「生殖生長」
といいます。
「種が発芽」するときのように、
ある温度中にいる時間や日長などの一定条件が揃うと、
「花芽分化」という変化の起点が発生して「栄養生長」から「生殖生長」に移行してゆきます。
「花芽分化」の条件は野菜の種類によっていくつかに分かれますが、
「花芽分化」した後は、冬から春を迎えてゆく高温・長日下で「とう立ち」が進み、蕾が花になり、花が種になってゆきます。
この過程を「春化」といいます。
「春化」の条件は、大きく2つに分かれます。
1.「種子春化型」
「種から発芽」する過程で低温にあたることで起こるものを「種子春化型」といい、ダイコンやハクサイなどがこれにあたります。
この場合、種をまく時から15℃以下、特に0~5℃の低温にあう時間が長くなると春化しやすくなります。
「種子春化型」への対応は、とにかく寒い時に種をまかないことです。
2.「緑植物春化型」
発芽の後一定の大きさになってから低温にあたることで起こるものを「緑植物春化型」といい、キャベツやタマネギなどがこれにあたります。
この場合、15℃以下、特に5~10℃の低温にあう時間が長くなると春化しやすくなります。
「緑植物春化型」への対応は、小さな時に越冬させ、春を迎えてから成長してゆくようにすることです。
高温によって「春化」を防ぐ(「脱春化」という)は可能で、夜間が低温でも日中ポリトンネルなどで20度以上(25~30℃がより効果的)にすると、その時間の長さ分「春化」を防ぐことが出来ます。
3.「長日植物」と「短日植物」
日が長くなると春化する「長日植物」ホウレンソウなど
日が短くなると春化する「短日植物」シソなど
春化には低温が長期間続くことが必要ですが、日長の影響は数日で現れます。
4.「中性植物」
発育すると日長に関係なく花芽ができるものを「中性植物」といいます。
トマト、きゅうりなど
5.高温で花芽分化
レタスなど
そのほか、上記の条件にならなくても、窒素不足などでとう立ちすることもあります。
とう立ち菜を食する
トウ立ちした蕾は、ほのかな苦さと甘みが食欲をそそります。ハクサイ、コマツナ、大根などの蕾と茎、ネギやニラのトウも油で炒めておいしく食べることができます。
まとめ
とう立ちには、種の時期の低温で起こる「種子春化型」、発芽の後一定の大きさになってからの低温で起こる「緑植物春化型」、日が長くなると起こる「長日植物」、日が短くなると起こる「短日植物」、発育すると花芽ができる「中性植物」、高温で花芽分化するものがあります。
とう立ちは日中ポリトンネルなど高温にするなどで防ぐことが出来ます。
トウ立ちした茎葉と蕾は、ほのかな苦さと甘みが食欲をそそり、この時期の旬を告げる食べ物として重宝します。
今日も1日ありがとうございました(^O^)
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